
映画「記憶にございません!」を観てきました。
キャスト
黒田啓介(中井貴一):憲政史上最悪の支持率 2.3% の第127代内閣総理大臣
井坂(ディーン・フジオカ):首相秘書官
黒田聡子(石田ゆり子):黒田啓介の妻
番場のぞみ(小池栄子):事務秘書官
寿賀さん(斉藤由貴):首相官邸料理人
山西あかね(吉田羊):野党第二党の党首
大関平太郎(田中圭):警察官でのちに黒田の SP となる
南条実(寺島進):黒田啓介に投石した現役の中年大工
黒田篤彦(濱田龍臣):啓介の一人息子
近藤ボニータ(有働由美子):ニュースキャスター
小野田治(梶原善):黒田啓介の小学校からの幼なじみで小野田建設社長
古賀(藤本隆宏):SP
野々宮万作(迫田孝也):秘書官補
鱒淵影虎(ROLLY):聡子の兄で衆議院議員
八代(後藤淳平/ジャルジャル):鶴丸官房長官の秘書官
ジェット・和田(宮澤エマ):ナリカワ米国大統領に同行する通訳
桜塚(市川男女蔵):厚生労働大臣
森崎(小林隆):財務大臣
牛尾(飯尾和樹):外務大臣
スーザン・セントジェームス・ナリカワ(木村佳乃:米国初の日系女性大統領。
柳友一郎(山口崇):元小学校教師で啓介の恩師
鶴丸大悟(草刈正雄):内閣官房長官
古郡祐(佐藤浩市):裏社会に通じているフリーライター
ストーリー
男が目覚めた場所は病院でした。
「私は誰!?」。
男は患者衣のままふらふらと街中をさまよい歩きますが、すれ違う者がみな、彼を知っているようです。
「おめーのせいで、全然儲からないんだよ。消費税どんどんあげやがって!」
酔っ払いのサラリーマンに絡まれてしまいます。
食堂のテレビからは、総理大臣が石を投げられ病院に運ばれたニュースが流れています。
よく見ると、自分の顔とそっくりで、
「店からとっとと出て行け!」
と追い出されてしまいます。
国民から超嫌われているこの男は内閣総理大臣、黒田啓介でした。
総理官邸に連行された黒田は、政治のこと、家族のことを一切忘れており、今では、腰の低い普通のおっさんです。
「あなたは、黒田総理です。史上最悪のダメ総理と言われています」
説明する秘書官、井坂に黒田は質問します。
「私はなんで人気がないんでしょうか?」
国会中継の VTR を見せられると、質疑応答の場面で、総理が怒鳴り散らしています。
「記憶にございません!記憶にねーんだよ!うっせーな」
これが今までの自分、総理大臣でした。
国政の混乱を防ぐため、記憶喪失の事はトップシークレットとされます。
知るのは秘書官、井坂と番場、そして秘書官補の野々宮の 3 名のみです。
黒田総理の見舞いに、官房長官の鶴丸が訪ねて来ました。
鶴丸官房長官は、私利私欲のために政界にのさばるドン的存在です。
家族の待つ公邸に戻った黒田でしたが、妻の聡子と息子の篤彦の態度から察するに、家族関係はどうやら上手くいっていなかったようです。
黒田総理の記憶喪失は、秘書官たちの巧妙なフォローによりなんとかバレずにいましたが、黒田は記憶を失くす前の自分がどんな総理だったのか知ることになります。
野党の山西あかねとの不倫関係、総理婦人の公私混同テレビ番組、活発な献金の受け取り、そして官邸の隣にスーパー銭湯付きの第 2 官邸の建設を進める K2 プランなど。
K2 プランは、黒田の同級生で小野が経営する建設会社との裏取引によるものでした。
さらに、謎のフリーライター古郡から、スキャンダル写真のもみ消し代金を請求されていました。
本当に史上最悪ダメ総理です。
「これ以上は出来ない。辞任します」
黒田は自信を無くしますが、秘書官の番場に、現在の黒田の良い面、自分の考えで自分の言葉で話す総理を始めて見たと言われ、もう一度政治と向き合う覚悟を決めます。
そんな時、黒田総理に石を投げた犯人、大工の南条が見つかります。
南条は、生活保護費の引き下げによる棟梁の生活を心配し石を投げたのです。
黒田はそんな南条にお礼を言います。
「石を当ててくれてありがとう。生まれ変わるチャンスを貰った。」
黒田には総理になる前の記憶は残っていました。
小学生の時お世話になった柳先生を呼びだし、政治のことを一から勉強することにします。
生まれ変わった気持ちで政治に取り組む黒田を見て、次第に周りの皆も総理の変わり様に心を動かされて行きます。
クリアな政治を目指し様々な問題を解決していく黒田総理でしたが、家族の問題は一筋縄では行きませんでした。
久しぶりに聡子と篤彦を食事に誘い、「これからは良い父親になるように努力する。」と宣言しますが、息子の名前もちゃんと呼べず、妻の聡子からは怖いと言われてしまいます。
そんな中、アメリカ初の日系女性大統領のスーザン・セントジェームス・ナリカワの来日が決定します。
めちゃくちゃながらも、ゴルフに手料理の振る舞いと交流を深める黒田総理。
ゴルフでは、鶴丸官房長官が過剰にナリカワ大統領を贔屓するのに対し、黒田総理は不正を正そうとし、交渉の意見交換では、素直な気持ちを伝えることで大統領を怒らせてしまいました。
アメリカとの関係が悪くなると息巻く鶴丸をよそに、ナリカワ大統領は会見の席でこう述べ、二人は堅い握手を交わします。
「強気で強引な総理は今までいなかったわ。言いたいことを言える関係は素晴らしい。ハラヲワッテハナソウ。」
鶴丸官房長官は手のひらを返したように黒田総理を褒めたたえます。
「あなたはなぜ政治家になったのですか?」
黒田の問いに鶴丸は、
「自分のために如何に長くこの世界にいるかが大事だ。」
と返します。
黒田は、政界の膿、鶴丸官房長官を引きずり落とさなければ、良い政治は出来ないと悟り、フリーライター古郡を雇い、鶴丸のスキャンダルを狙います。
その後、古郡の撮ってきたネタで、鶴丸はあっさりと辞任し、問題は解決したかに見えました。
しかし、官邸に一通の FAX、秘書官の井坂と妻の聡子の不倫現場の写真が届きます。
家族を顧みず、聡子との関係も冷え切っていた黒田。
井坂もまた最悪の総理の元で働くことで次第に政治への意欲を失い、嫌がらせのために聡子に近づいたのでした。
井坂は、心を入れ替え日本を良くしようと頑張る黒田総理に、自分の存在が迷惑になると辞表を提出しますが、黒田は井坂の辞任を引き留めます。
「私にも責任がある。君は必要な人材だ。」
その言葉に、井坂も総理と共に戦う覚悟を決めます。
一同は、黒田総理の支持率の回復を目指します。
妻の気持ちも取り戻したい黒田は、不倫相手だった山西に協力を頼み、ある機会をもらいます。
公邸でスキャンダルの記事を知った聡子は逃げ出そうとしていましたが、逃げる車の中で、国会中継が流れます。
「君ひとりを幸せに出来ないようなら、この国の総理は無理だ!愛してる、聡子。」
そこには、黒田が一生懸命自分へ愛の告白をする姿が写っていました。
国会が終わった官邸に駆け付けた聡子は、黒田に走り寄り二人は抱き合います。
日本国中が 二人を温かく見守っていました。
黒田夫婦は仲良く、演説のテラスに現れました。
その場所は以前、黒田総理が石を投げられ倒れた場所です。
仲良く手を振る二人に向けて、観客のひとりが石とパチンコを構えました。
放たれる石にいち早く気付いた警備によって直撃は免れました。
今の黒田総理は、国民の支持率は上がらずとも、側近に守られ信頼され、国民のための政治を目指しています。
秘書官の番場が、楽しそうにある作文を読んで聞かせます。
「僕は本当は明るい性格です。石が当たって記憶を失くしたふりをすれば、明るい自分を出せるのに。」
黒田が書いた小学校の時の作文です。
「もしかしたら、記憶戻ってました?」
「これ(この作文と記憶が戻っていたこと?)は国家機密だよ。」
記憶がどこから戻っていたか定かではありません?
夜、官邸の総理の部屋に息子の篤彦がやって来ます。
「父さん、僕もいつか総理になりたい。」
生まれ変わった黒田総理は家族からの信頼も取り戻せたようでした。
感想
三谷幸喜色満載のドタバタコメディーでした。
ただ、予想していた程、笑う場面は多くなかったです。
圧巻は豪華なキャスト、ちょい役にも結構有名な人が登場してます。
「あれ、この人だれだっけ?」
と考えてしまう部分もこの映画の楽しみですね。
ストーリーは極めてシンプルで、過去最低の支持率である総理大臣が記憶喪失になり、良い総理大臣になるべく奮闘するというもの。
しかし最後にオチがありました。
「途中から記憶が戻っていた?」
「そもそも、最初から記憶喪失ではなく、自分を変えるための演技だった?」
最初は本当に記憶喪失だったらしいですが、真実は黒田総理以外にはわかりません。
「人は変わろうと思えば変われる!」
それを私達に教えたかったのでしょう。
ドタバタ、コメディーの中に、深いメッセージが込められた、そんな映画でした。
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