以前使っていた TOHO CINEMAS のポイントが溜まっていました。
どこも同じような仕組みですが ” 6 回観ると 1 回無料 ” で映画を観ることができます。
この日は前日の飲み会のため、新宿に泊まっていたので、どうしても観たかったこの映画を観るために渋谷まで遠征しました。
護られなかった者たちへ
予告編の重たい雰囲気に惹かれて観たこの映画は果たしてどんな内容なのか?
あらすじ(ネタバレあり):
東日本大震災から 10 年目の仙台で、全身を縛られたまま放置され ”餓死” させられるという不可解な殺人事件が相次いで発生。
被害者はいずれも、誰もが慕う人格者だった。
捜査線上に浮かび上がったのは、別の事件で服役し、刑期を終え出所したばかりの利根(佐藤健)という男。
刑事の笘篠(阿部寛)は、殺された 2 人の被害者から共通項を見つけ出し利根を追い詰めていくが、決定的な証拠がつかめないまま、第 3 の事件が起きようとしていたー
なぜ、このような無残な殺し方をしたのか?利根の過去に何があったのか?
出展:「護られなかった者たちへ」公式ページ
震災直後、利根には、避難所で知り合い、家族のような絆で繋がれた遠島ケイという老女とカンちゃんと呼ばれる少女がいました。
遠島ケイは日本に多い古い考えの人間で、お金がないにも関わらず、生活保護を受けようとしませんでした。
利根は、そんな遠島ケイを説得し、役所に生活保護を申請することになり、その申請の対応をしたのが今回の被害者の三雲、城之内と上崎でした。
申請は承認され、生活保護が支給されることになったはずでしたが、遠島ケイはそれを辞退し、自宅で餓死してしまいます。
三雲、城之内、上崎が生活保護の辞退を強要したと思い込み利根とカンちゃんは役所に怒鳴り込みますがどうにもなりませんでした。
そんな過去の出来事を探り出した笘篠は利根を犯人と断定し、利根が次に狙うであろう上崎を襲いに来た利根を逮捕します。
利根は 2 件の殺人事件を認めますが、そんな時に上崎が行方不明になります。
そうです。本当の犯人は現在、仙台市でケースワーカーをしている丸山幹子で、彼女がカンちゃんなのでした。
遠島ケイの生活保護を支給しなかったことに対する復讐として当時の関係者、三雲、城之内、上崎を狙ったのでした。
折しも、震災直後の仙台では、多くの人が生活保護を受ける一方、不正受給が増える、本当に必要な人に支給されないなど、生活保護に関する法律にはいろいろと問題がありました。
実は、遠島ケイが生活保護を辞退したのは、遠島ケイに娘がいた事が発覚し、法律上娘に援助の意思の確認をする必要があったためでした。
生活保護の原資には限界があり、すべての人を助けることができません。
働ける人、援助してくれる可能性がある身内がいる人よりも、本当に必要な人をサポートするのは当たり前です。
しかし、遠島ケイの場合は、生活保護を支給しなければ餓死をしてしまうのはわかっていました。
それでも、本人の意思として、生活保護の支給を止めてしまった三雲、城之内、上崎の三人。
震災は誰にも止められませんが、三人がきっかけとなった遠島ケイの餓死は人災なので、止められたのでは...?
本当に悪かったのは、一体だれなのか?
ラストシーン、笘篠と利根は海辺で話します。
利根は、震災のときに目の前で黄色のジャンパーを来た少年が津波に飲まれていくのを助けることができなかったと告白します。
そのことが、避難所で出会った黄色いジャンパーを着たカンちゃんを守るという決意に繋がり、10 年後の事件でもカンちゃんを守ろうとしたのでした。
利根が助けることが出来なかった黄色いジャンパーの少年が笘篠の息子だったかどうかは定かではありません。
しかし、その告白を聴いた笘篠が言った
「声に出してくれて、ありがとう」
という言葉には、現実を受け入れた笘篠の決意が感じられました。
感想:
震災直後、津波被害の悲惨な状況などはニュースなどで観ていました。
仮設住宅や生活保護が被災者に提供されていることは知っていましたが、それらが提供されない人達がどれくらいいるのかは考えたことがありませんでした。
一方、生活保護の不正受給者が多く存在し、長期に渡って問題視されているのが現状です。
「護られなかった者たちへ」は生活保護の問題点をいくつかのケースで紹介しています。
法律、仕組み上の問題、不正受給する人、受給することを恥ずかしく思う人の心の問題など解決できない問題が山積みです。
映画の中で何度か出来てきた「声を大きく上げること」「声に出して言うこと」がこの問題の解決策なのかもしれません。
現在はコロナ禍の緊急事態宣言がやっと解除された状態。
コロナ禍での飲食店への援助にも多くの疑問が残りましたが、根っこ似ているのかなぁ...と感じた映画でした。
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