渋谷で働く営業本部長のブログ

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au マンデーで観た映画「すばらしき世界」のあらすじと感想(ネタバレあり) #映画 #あらすじ #ネタバレ #映画大好き

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au マンデーでこの映画を観てきました。

 

すばらしき世界

 

偶然にも日本連続でヤクザの社会復帰をテーマにした映画になりました。

 

 

感想

 

偶然にもヤクザの社会復帰がテーマの映画を二本続けて観ることになりました。

というか、同じ時期に、同じテーマの映画が同時公開されていることもスゴイことだと思います。

表現の仕方は違いますが、ヤクザの社会復帰にある社会の壁が根幹になってます。

ただ、この作品では、今の社会の自分中心的な考え方への疑問を、真っ直ぐな心を持つ元ヤクザの気性で問題提起されていますね。

難しい問題なので正解はわかりませんが、協力者への約束を守る方を優先し、自分の信念を曲げた三上正夫が、その直後に亡くなってしまった。

三上正夫は後悔していないのか...?

監督の西川美和さんが伝えたかったのは、どちらなのか?

考えさせられる作品でした。

「ヤクザと家族」との比較は難しいですが、非常に良い作品だと思います。

 

キャスト

 

三上正夫(役所広司):人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯

津乃田龍太郎(仲野太賀):作家を目指している TVディレクター

吉澤遥(長澤まさみ):TVプロデューサー

松本良介(六角精児):スーパーの店長

井口久俊(北村有起哉):ケースワーカー

下稲葉明雅(白竜):下稲葉組の組長

下稲葉マス子(キムラ緑子):下稲葉明雅の妻

西尾久美子(安田成美):三上正夫の前妻

庄司勉(橋爪功):三上の身元引受人の弁護士

庄司敦子(梶芽衣子):庄司勉の妻

 

概要

 

2017年、冬の旭川刑務所で、ひとりの受刑者が刑期を終えました。

受刑者の名前は三上正夫、殺人罪で収監されてから 13 年間、旭川刑務所で過ごしました。

 

旭川刑務所前の停留所でバスに乗り込んだ三上は、自分を見送る二人の刑務官に愛想よく笑顔を送ったあと、小さな声で「ざまあみろ」と言って座席に座ります。

三上は、今度こそは刑務所に戻るまいと考えており「俺はもう極道じゃなか。今度ばっかりはカタギぞ」と自分に言い聞かせました。

三上が旭川刑務所を出て東京へ移動している頃、テレビの制作会社を辞めて小説家を目指そうとしている青年、津乃田龍太郎のところへ、やり手のテレビプロデューサー、吉澤遥から仕事の依頼が届きます。

事の発端は、人探しの番組に三上が母親を探してくれと手紙を送ってきたことでした。

三上が前科者であることに目を付けた遥は「前科者の三上が心を入れ替えて社会に復帰していくさまを映し、さらに生き別れた母親と、涙ながらの再会を果たす…」という感動的なドキュメンタリー番組に仕立て上げようと考えました。

仕事を受けた津乃田のもとに、三上の「身分帳」が届きました。

「身分帳」とは、刑務所に収監されている受刑者の経歴を事細かに記した、受刑者の個人台帳のようなもので、それを読めば本人の生い立ち、犯罪歴などが全て分かるようになっています。

三上は福岡県福岡市の生まれでした。

芸者の母親の私生児として生まれ、父親の認知がなされなかったため、戸籍がないまま育てられます。

4 歳の頃に母と離別し、その後は養護施設の「明月園」で育ちました。

中学に上がるころから素行が悪くなり、14 歳で京都の少年院に入所したのを皮切りに、以後は出所しては悪さをして少年院に逆戻りという生活でした。

旭川から上野まで電車で移動した三上は、身元引受人の庄司勉に迎えられ、自宅で庄司の妻、敦子と共に歓迎されました。

身元引受人の庄司は、出所したばかりの三上に持病があることを指摘し、すぐに働けないとみて生活保護の申請を提案します。

庄司は三上を連れて役所の窓口へ行き、申請の手続きを取らせましたが、しぶる窓口に腹を立てた三上はばったりと倒れ、病院に運び込まれました。

高血圧で心筋梗塞の持病を持つ三上は、女医に安静にしろと助言され、薬も処方されます。

入院した三上の病室に、津乃田が訪ね、テレビ局の者だと名乗ると、母親探しをしてくれると思った三上は快く取材を受け入れます。

 

退院した三上は、自分が暮らすアパートへ行きました。

おんぼろアパートで三上の再出発の生活は始まります。

米を研いで炊飯器で炊いて自炊をし、近所のスーパーで買い物をします。

洗濯物を丁寧に干して、ミシンでカーテンを作り、アパートの前にゴミ出しをした際には、ゴミの分別方法も教わります。

三上は働く気満々ですが、女医からは安静にしろと言われ、やる気はあるのに体はついてこないので、三上はイライラしました。

ある日、下の階に住む住人が騒がしくて眠れず、三上は文句を言いに行きます。

礼儀のなさに憤りを覚えた三上は、偉そうに言うパンチパーマの男性を表の空き地に呼び出すと、仁義を切り始めました。

 

男性は「いまどき組もクソもねーよ。バーカ!」と捨てセリフを吐きましたが、まさしくそのとおりでした。

ヤクザは肩身が狭いことを、三上は肌で知ります。

安静にしろと言われましたが、することがありません。生活保護を申請したので暮らしに困ることはありませんが、三上は生きがいに飢えていました。

ある雨の日、思い立って公衆電話に移動すると、剣道の防具を作っている会社に電話をかけて求人募集がないかを聞いてみますが、刑務所あがりがバレて電話を切ります。

そして、道行く人を眺めた三上の視界にいた自転車の男が、三上と目が合うと頭を下げました。

ケースワーカーの井口久俊でした。

井口は定期的な家庭訪問だと言い、スマホを持つことを勧めました。

生活保護の身の三上は持つことをためらっていたのですが、井口は「誰かと繋がりを持って、社会から孤立しないことの方が大事」だと言います。

早速スマホを持ち、嬉しそうに操作します。

密着取材をする津乃田も、三上のところへ頻繁に顔を出しました。

収監中に免許失効した自動車免許を再び得たいと、三上は津乃田に話し、早速警察署へ行きます。

 

警察署で女性警官に問い合わせた三上は、免許の取り直しが必要だと教わりました。

思い通りにいかないことに三上はその場で心臓発作を起こして倒れ込み、急いで薬を口に含みます。

床に尻をついた三上は、役所の窓口にかつての妻、久美子の姿を思い浮かべました。

三上は 13 年前に、久美子と一ヶ月だけ結婚生活を送っていました。

当時スナックの店長をしていた三上は、ホステスの引き抜きのもめごとで 20 代の男性を刺し、殺害して逮捕されたのです。

久美子とはその後、離婚をしました…。

久美子のことを思い出した三上は、久美子の現在の住居を訪ねると、団地に住む久美子は再婚して、西尾という苗字になっていました。

 

スーパーへ買い物に出かけた三上は、万引の疑いを掛けられ、店長の松本良介に呼び止められますが、疑いは晴れ、松本は疑ったことを素直に詫び、お詫びの品を持って三上の部屋までついていきました。

誤解が解けた三上も松本と話をし、同じ福岡出身ということで会話も弾みます。

荷物の中に免許の教本があったのを見た松本は、免許を取った暁には知人の運送屋を紹介すると言います。

勉強をした三上は試験を受けに運転免許試験場に行きますが、その運転はひどいもので、試験中断で不合格になります。

帰宅して教習所の問い合わせをしていた三上のところへ、津乃田と遥がやってきました。

三上を焼き肉屋へ連れ出し、「三上さんが壁にぶつかったり、トラップにかかったりしながらも更生する姿を流したら、視聴者に感動を与える」と遥が話し、店を出るころには、三上もすっかり懐柔されていました。

帰り路、三人は若者 2 人が中年男性を締め上げているのを見つけます。

見過ごせない三上は制止して中年男性を逃がすと、若者 2 人と喧嘩するために人気のない場所へ案内し喧嘩を始めます。

遥の指示でカメラを回したものの、本能的に恐怖を覚えた津乃田は撮影をやめ、カメラを持ったまま逃げ出します。

津乃田を追ってきた遥は、津乃田を叱りつけました。

「お前、終わってんな。カメラ持って逃げてどうすんのよ。撮らないんなら、割って入って止めな。止めないのなら撮って、視聴者に伝えろ。あんたみたいなのが一番、何も救わないのよ」

遥の言う通りでした。

 

教習所に通う金がない三上は、その後も免許試験場で試験を受けますが、不合格が続きます。

 

津乃田に出演料が出ないのか、前借ができないかと三上は聞きますが、津乃田は渋い顔をしました。

焼き肉屋のあとの乱闘事件を撮影した津乃田は、自分が下手をすれば殺人事件のスクープ映像を撮るはめになるところだったと言い、三上が懲りていないのではないかと進言します。

津乃田は三上に、番組の企画がつぶれたと話しました。

怒りを覚えるたびに暴力で解決しようとする三上のやり方では、社会に適応できないと津乃田は言いました。

三上は腹を立てて電話を切ります。

 

津乃田との電話を切った三上は、社会で生きていくことの難しさを痛感していました。

ボールペンの軸に隠していた番号に電話かけて、かつての仲間、下稲葉明雅に連絡を取ります。

下稲葉は三上の電話を喜び、下稲葉に呼ばれて三上は九州へ飛びます。

下稲毛の家に行った三上は酒を酌み交わし、談笑しましたが、しばらくすると下稲毛は電話で呼ばれて、どこかへ出かけます。

 

出かけた下稲毛を待つ三上は、防波堤で釣りをしていました。

そこへ津乃田から電話がかかり、三上のいた施設と連絡が取れたこと、古い名簿を調べてくれるらしいことを告げて、訪ねに行こうと提案します。

下稲毛の家に戻った三上は、家の前に警察車両が複数停車し、おおぜいの警官が出入りしているのを見ます。

三上を見つけたマス子が袖を引き、早く場を立ち去るように言いました。

マス子は、祝い金を三上に握らせると、「シャバは我慢の連続です。ふいにしたらいかん」と声をかけ、三上は拝みながらその場を去ります。

津乃田と合流した三上は、福岡県の筑紫にある施設を訪ねましたが、三上がいた頃の資料は 10 年前に焼却処分となっており、確かめようがないと伝えられます。

その夜、地元の旅館に泊まった三上と津乃田は、浴場に並んで入っていました。

津乃田は三上の背中を流しながら、三上を題材に小説を書くと話します。

「だから、もう元に戻んないでくださいよ」と訴える津乃田の言葉を、三上も素直に聞き入れました。

東京に戻った三上のところへケースワーカーの樋口が訪ね「過去を伏せるのではなく、分かったうえで雇い入れてくれるところで働く気はないか」と声をかけました。

三上は介護施設の見習いとして働くことになりました。

前科者や障碍者を雇い入れている施設です。

三上が報告に行くと、スーパーの店長、松本は大喜びして裏へ引き入れました。

お祝いだと言って金庫の金を教習所の頭金にしろと渡します。

残りをローンで支払おうと身元引受人の庄司に電話で相談すると、庄司が残金を貸してやると言いました。

自分の周囲にいる者たちのあたたかい気持ちに触れた三上は、電話のあと空を見上げます。

津乃田、庄司、庄司の妻・敦子、松本が三上の就職祝いのパーティーを開きました。

三上の部屋でケーキとごちそうを囲み、祝福します。

そこに集まっているのは、三上の味方で、彼らは三上に、腹を立てるような局面があっても受け流せと助言します。

「逃げるのは負けじゃない、勇気ある撤退だ」

と言う面々に、三上も「よう分かるようになりました。皆さんの顔に泥を塗るようなことはしません」と神妙な面持ちで返答します。

津乃田たちは三上に就職祝いとして、ボディが黄色の自転車をプレゼントしました。

帰宅した津乃田はプロデューサーの遥に電話をかけると、三上の身分帳を持ったままでもいいかと聞きました。

遥はとうに関心が失せているらしく、「あの前科者のおじさんと、まだ関わってんの?」と津乃田に呆れます。

普通になった三上になんの魅力があるのかと問う遥に、「それでも書きます」と津乃田は答えました。

働き始めた三上に、早速困難が待ち受けます。

花壇で一緒に花を植えた阿部が、同じ職員に裏でいじめられていました。

その現場を目撃した三上は、モップの柄でいじめている職員を殴りつけようと考えますが、ぐっと我慢します。

腹を立てても受け流せという助言を思い出した三上は、心臓発作を薬でおさえてその場を耐えました。

女性職員たちとお手玉を作っている三上のところへ、いじめていた職員、服部がやってくると阿部のことを話し始めます。

入所者の入浴介助の仕事の時にさぼってスマホを見ていて、溺死させる寸前だったのだそうです。

障碍を持つ阿部のほうにも非があったのです。

三上が前科者だと知らない服部は、阿部の話のあと調子づいて軽口を叩き始めました。度を越した発言の数々に三上は腹を立てますが、ぐっと我慢しました。

帰宅する三上に、阿部が、台風が来る前に切ったコスモスを持って帰るかと差し出しました。

泣きそうな顔で三上は、それを受け取ります。

自転車で帰路についている三上のスマホに、元妻の久美子から電話がありました。

久美子は三上を心配して気遣う言葉をかけたのち、昔のアルバムを渡すから娘つきで食事でもしようと誘い、三上は喜んで受けました。

アパートまで帰り着くと、雨が降り始めました。

三上は部屋に急いで入ると、窓に干していた洗濯物を取り込み始めますが、Tシャツだけ残ります。

同じ頃、津乃田は三上を主人公にした小説の執筆を開始していました。

三上の部屋では、あおむけに倒れた三上がコスモスに手を伸ばし、花の香りを嗅いでいましたが、三上の呼吸が止まります。

翌日、三上の訃報の連絡を受けた津乃田が駆けつけると、津乃田、松本、庄司、庄司の妻の敦子、ケースワーカーの樋口が集まり、声もなく見守っていました。

再出発を決意した矢先に、三上は亡くなりました。

三上の死んだ後も、変わりなく空は広がっていたのでした。

 

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